
特に中小企業にとって、中期経営計画と聞くと、「小難しくてイメージが湧きづらい」「絵に描いた餅になりそう」と考えがちで、重要性は認識していてもなかなか動けないところもあるのではないでしょうか。
今回はパッショントラスト社と行った中期経営計画の策定と運用を通じ、コロナ禍で業界的に逆風の中でも1年で組織活性化を実現した新日本工業株式会社の椎橋社長に、取り組みの経緯や成果について伺います。
新日本工業株式会社の紹介

ーー本日はありがとうございます。では、最初に会社でどういったことをされているのか、かんたんにお伺いできますか。
椎橋社長 我々は「金属加工部品の商社」です。色々な金属加工部品を作っている町工場さんの取りまとめ役であり、金属加工部品を欲している発注者さんにとっての購買代行のような存在です。
通常、金属加工部品を仕入れようとすると、当然1つの工程では完結することはありません。色々な工程を完了した部品を取り寄せることになります。
そこで、我々が間に入ることによって、発注者さんにとっては数ある町工場へのお問い合わせや工程の管理など、細かい対応を省くことができますし、仕掛り在庫をなくすこともできます。一方、町工場さんにとっては営業に労力を割く必要がなくなります。
金属加工部品であればどんなものでも扱うことができまして、町工場さんから素材を仕入れた後に熱処理・表面処理まで行い、発注者さんへ完成品としてお渡しする、というビジネスモデルでやっています。
なぜ「中期経営計画」の策定に至ったのか
ーーありがとうございます。今回はパッショントラスト社とのコンサルティングプロジェクトの取り組みについてお伺いしたいのですが、一緒にお仕事する経緯はどのような形であったのでしょうか。
椎橋社長 当時の私は現状の事業について「会社を発展させるには既存事業の取り組みだけでいいのか」という想いを持っていました。そこで、新しい何か、新規事業の立ち上げをしたいと考えていた最中でした。
その際、いろんなセミナーに参加していたのですが、そこで尊敬している先生のセミナーを主催されていたのがパッショントラスト社の中尾社長でした。
その先生の価値観に共感していたので、セミナー主催として関わっていらっしゃる方であれば価値観も合うはずで、信頼してお話ができるだろうとは考えていました。
実際にお話すると、頭の中でこんがらがっていたことをうまく整理して紐解いていただけた感覚があり、感銘を受けたことを覚えています。
それから新規事業についてご相談したい意向はあったものの、社内事情もあり踏み出せずにいたのですが、改めて事業を推進したいと思った1年ほど後にお声がけさせていただき、プロジェクトのご提案を受けることになりました。
ーーその際はどのようなやり取りをされたのですか?
椎橋社長 ご相談内容は変わらず新規事業の立ち上げについて。私の頭の中にたくさんあったアイデアの可視化をお手伝いいただこうと考えておりました。
お話していくうちに、「新規事業を立ち上げるにあたって、まずは既存事業の整理・見直しが必要だ。社内の状況分析を実施し、中長期の戦略を見据えた中期経営計画をつくりましょう」というご提案をいただきました。
確かに中期経営計画を通じて現状と今後を整理する重要性は承知しておりましたし、作りたいとも思っていたのですが、「どうやって作ればよいのか」「どのように運用すればよいのか」のイメージが湧かず、手を付けられないでいました。
仮に手を付けられたとしても、社内に経営課題や戦略について相談できる人材、いわゆるNo2のポジションがおらず、それも悩みとしてありました。
こういった経緯でご縁のあったパッショントラストさんとお取り組みを始めることになりました。
コンサルティングを導入することに対する不安と導入後のギャップ

ーーなるほど。ちなみに、コンサルティングプロジェクトの導入は初めてとお伺いしていたのですが、導入にあたって不安に思っていたことはありましたか。
椎橋社長 もちろん、初めての経験なので信頼がないとなかなか踏み出せないのですが、心配はぜんぜんしていなかったです。金額に関しても適切だと思っていました。というのは、尊敬している先生の価値観に同調している方というだけで、信頼してお話ができたからです。
その先生は不思議と人を元気にする人で、「不景気になろうが何だろうがどんな状況でもチャンス」と物事を捉えられる方でした。
そういった考えが前提としてあった上で、中尾さんのコミュニケーションは一方的に「正しさ」を押し付けるわけではなく、自分の考えを尊重してくれる。
考えを聞いていただいた上でダメであればダメと言ってもらえる。そういったところが印象に残っています。
ーーこれまでコンサルティングプロジェクトを始める前のお話を伺ってきましたが、実際にプロジェクトを始めた後のギャップというか、「ここまでやってくれるんだ」というところがあればぜひご教示いただけますと幸いです。
椎橋社長 例えば中期経営計画の資料作り1つにしても、「ここまで思ったことを可視化してくれるのか」という驚きはありましたね。もちろん自分でも作れると思いますが、自分でやるより整理されたと感じています。
また、プロジェクトをスタートする際、社内の状況を把握するためのアンケートや面談を丁寧にしていただき、それぞれの社員さんの考え方をレポートにまとめていただいたことで、自分が思っていたより社内がバラバラだったことを課題感として認識させられました。
こちらに対しても方向性を見出すサポートをいただけたことは、「ここからやるんだ」と思ったところでしたね。
中期経営計画の策定後も、社員との座談会を通じてあるべき姿の落とし込みを行い、社員だけではたどり着けなかった「気づき」をいただくことができました。
計画を作って終わりにはさせない、パッショントラストさんならではの信念を感じましたね。
中期経営計画プロジェクトの成果と今後の展望

ーーありがとうございます。いま一部触れたところでもあるのですが、次は実際のプロジェクトの成果についてですね。現在、中期経営計画の落とし込みのフェーズということで定性的な内容がメインになると思いますが、定量的な成果ももしあればお伺いさせてください。
椎橋社長 まず、自分の頭を整理し、可視化できたというのがいちばん大きいですね。ただそれだけでなく、実現に向けて良い意味で毎週プレッシャーを与えてもらえることで、自分でやると後回しになってしまいそうなこともしっかり実行できたと考えております。
次に、社内がまとめやすくなってきたということがあります。中期経営計画の中で、「どういう組織にすれば良いか」というところを考え、実現に向けて動き出しました。
例えば営業で言うと、個人商店状態だったところをチーム制にして、チームのスローガンみたいなところも考えてもらうようにしたんです。そうすることで、数字に対する考え方が変わってきたり、今までにはなかったような自発的な提案が出てくるようになるなど、良い変化を感じています。
考えてもらったスローガンは実現しなければならない、ということで、これもパッショントラストさんの案で紙に書いて壁に張り出してもらうようにしました。
そうすると、それを見た来客の方(お客様)に「良い雰囲気の会社だね」と言われることが多くなったことも印象に残っています。
ここまでは営業の話でしたが、品質保証も総務も以前は自分が最終チェックに入らないと不安なところがあったのですが、今はチームとしての責任感が出てきて「任せて安心」になっていますね。
定量的なところで言うと、弊社はコロナの影響が直撃した業態だったので、売上面での好影響はこれからといったところですが、品質管理のKPIとしている「不具合流出件数」が、このKPIを打ち立ててから15年で初めて達成できそうな見込みです。
ーー組織が元気になることでこれから定量成果の方も期待できそうですね。今後はどういう取り組みをされていくのでしょうか。
椎橋社長 社内で「プロジェクトグループ」と呼んでいるものがいくつか立ち上がっているので、その推進を行っていきます。
例えば「幹部育成プロジェクト」では社長直轄でいくつかの課題を与え、次世代のNo2となってくれる方の育成を行っています。
他にはコロナを経験して改めて自社のITリテラシーがまだまだだということに気付かされたので、「社内IT化とリテラシー向上」のプロジェクトを立ち上げ、社内のデジタル化改革を進めています。
それ以外にも、社員メンバーが提案してくれた内容は、よほど変なものでない限りは実現を前提に動くようにしています。
パッショントラスト社の強みと、親和性がありそうな会社とは
ーーありがとうございます。ここまでパッショントラスト社との取り組みの詳細についてお伺いしてきましたが、最後にパッショントラスト社の良いところ、こんな会社さんとは親和性がありそう、というところがあれば、お聞かせいただけますか。
椎橋社長 パッショントラストさんと話していると自然と元気になるんですよね。社員もそんなにお話する機会が多いわけではないのですが、元気になっているのではないでしょうか。それは、それぞれの方の考えに寄り添って、頭の中を先回りして整理して客観的な視点で言語化してくれるからだと思います。
コンサルタントという立場ということで、変に業界に精通していないところも良いですね。もちろん業界について勉強はされていると思いますが、業界にどっぷりつかることで逆に見えなくなってしまっていることについて、気づきを与えてくれる存在だと考えています。
あとは、単純に相談しやすいですね。お顔を見ただけで「できそうだ」という雰囲気がありますし(笑)
経営のどのレイヤーの話をしても瞬発的に答えが返ってくるのは、社長の資質やパッショントラスト社の造詣の深さがあってこそですね。何か問題があっても、個人的なところまで含めて、いつでも連絡が取れて安心して相談ができるのは心強いです。
中期経営計画を作って運用したいが、考えを咀嚼し、社長の代弁者として現場の状況を把握して取りまとめてくれるNo2がいない企業、経営課題に関しての相談相手が欲しい企業、考えたことを確実に実現させたい企業、社員の成長とともに会社を発展させていきたい企業さんは、ぜひお話を聞いてみてください。